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2018 つつじが丘の住宅

竣工してから13年の月日が経ちました。
6年ぶりになるでしょうか。つつじが丘の住宅を訪問しました。
アプローチのトネリコの成長が月日を物語っていますね。

2018つつじが丘の住宅|アプローチ


竣工当時
©新建築写真部


おいしい食事をいただいたり、びっくりするくらい成長したお子さん達と会ったり、とても楽しい時間を過ごすことができました。

撮り慣れていないので、食べた後に気がつくという(^_^;
これは忘れず撮りました


一番感心したのは、ライフスタイルの変化にも、自ら工夫して使われていたことですね。
お子さんや奥様のお友達のたまり場?になっていると言うことなどもお聞きして、人が集まる家なんだと嬉しく思いました。
設計していた時から、オーナーの住宅に対する考え方は、とても懐が深いところが有って感心していました。
痛んでしまって、改修した部分もありますが、竣工当時のまま変わらず有るその姿をみて。
設計して良かったと想いを新たにしました。

竣工当時|中庭
©新建築写真部


ライフスタイル|キッチンのデザインをとおして見えるオーナーの価値観|

価値観やライフスタイルが多様化するなかで、住み手にとって何が必要なのか?本当に必要としているものは何か?
住み手と、設計の打ち合わせを何度も重ねる中で、見えてくるものがあります。
徹底して必要な機能だけを組み込んだキッチンです。
アイランド型にしていますが、手元は隠すようにカウンターは見えなくしています。
キッチンカウンターは、人工大理石、キャビネットはウレタン塗装です。
ガスコンロは2口で十分。グリルも不要。その分収納を大きく取っています。
大型シンクと、下部に食洗機。
カウンター背面の収納スペースには、左右に冷蔵庫と、棚板を設けています。
扉は無い方が使いやすい。しかし正面に見えては見苦しいことからこのようにしています。
天井は3.2mの高さがあるため、レンジフードのようなものは使えませんし、何より見苦しい。換気扇はキャビネットに取り付けて、床下から排気しています。
「必要にして十分」オーナーの言葉です。
それこそが、価値観であり、ライフスタイル(何がしたいか)と言うことです。オーナーは、フランス留学の経験から得た住まいに対する想いが明確でした。
「機能的で生活感があり、身の丈を知り余計なものをそぎ落とした潔さを感じる。室内には、使うものか美しいものしか置きたくない。」
家具は、今まで使っていたアンティーク家具をそのまま使っています。
だからこそ、住まいの空間は徹底してシンプルにつくっています。
床もすべて450角の磁器質タイル
壁面はガラスか白壁
天井も白
必要なもの以外そぎ落としたライフスタイル。いままでの家具も、しっくりなじみます。

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ダイニングとキッチン
リビング、ダイニング、キッチンはワンルーム。
3.2mの高い天井。
背面の四角い箱は収納スペース。
アンティークテーブルが映えるモノトーン空間。

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キッチンカウンター
必要にして十分
オーナーのライフスタイルを表しています。

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ダイニングキッチンの図面
1枚目の写真と同じ方向の図面です。
中央がキッチンキャビネット。その上が収納スペースです。

 


ディテールを考える

構造材とカーテンウォールの枠材を兼ねたディテールです。
鉄骨造で、鉄材をそのまま現すというのは、実はとても難しい。接合部がそのまま見えてしまうので工夫が必要になります。
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これは、柱材と無目材の接合部。角パイプをFBで挟み込んでいます。柱材に角パイプを水平に溶接して無目材のFBの間に差し込んでボルト接合しています。
単に構造材だけではなく、ガラスを受ける枠材としていて、カーテンウォールの部材としても機能しています。FBに挟まれた角パイプは、電気ケーブルの配線スペースにもなっていて、コンセントやスイッチもこの部分に設置しています。

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幅2m程の廊下状の中庭は、すべてガラスカーテンウォールになっていて、室内と繋がる空間になっています。